ビートキャンセラ

ラジオや無線を聞いているときに不快なビート雑音は、適応フィルタによって取り除くことができます。携帯電話で使われているノイズ・キャンセラは1入力で雑音を推定しますが、ラジオのビートキャンセラは参照信号を元にビートを取り除きます。
一般に参照信号つきの適応フィルタの動作は次のようなものです。参照信号R、入力信号S+f(R)があるときに、入力信号をSだけにします。たとえば、工事現場の騒音を参照信号として拾っておけば、工事現場でのリポーターの声(騒音入り)から、適応フィルタを使って騒音を取り除くことができます。
ビートキャンセラを作るときに困るのは、参照信号である純粋ビートがないことです。そこで、入力信号を遅延させることで入力自身を参照信号にします。こうすると、音声信号は遅延した結果相関を失うのに対して、ビートは遅延しても相関を失いませんから、入力からはビートのみが除去されます。
適応フィルタによるビートキャンセラに関しては、いくつも文献を読むことができます。

特に2番目の「ディジタル信号処理による〜」には、ノッチフィルタとして動かす場合(ビートキャンセラ)とバンドパス・フィルタとして動かす場合(ライン・エンハンサ)の両者の分かりやすい解説があります。