看板に偽りなし

昨日、久しぶりに秋葉原に出たついでに買ってきました。一昨日入荷していたそうです。

はじめてのDSP活用大全―開発環境の用意から事例研究まで (ディジタル信号処理シリーズ)

はじめてのDSP活用大全―開発環境の用意から事例研究まで (ディジタル信号処理シリーズ)

タイトルは「はじめてのDSP」か「DSP活用大全」にすべきだと思いますが、それはともかく内容は充実しています。著者は「いまどき自分でFFTのプログラムを書くなど論外」とはっきり言い切った上で、ツールやライブラリを活用してどんどんDSPを使うべきだと主張しています。DSPを製品に使う以上生産性が求められるのは当然で、これ以上ない正論です。また、アマチュアにもいちいちアセンブリ言語でプログラムなんか書いてられないという人は多いでしょう。
本書は全体がこの主張で貫かれていますので、ツールの使い方やインストールにも臆することなく紙面を割いています。その上でアーキテクチャペリフェラルの詳細はすっ飛ばして応用事例を紹介しています。応用はギターエフェクタや測距のようにDSPの能力を存分に生かしたものになっています。また、市販のギターエフェクタを使って行う例も解説されています。グラフィック・イコライザの設定を変えながらその伝達特性を調べるあたりは、読んでいて楽しかったです。
プログラムはC6317を使って書かれており、浮動小数DSPなので演算精度を気にしないでよいのも入門書としてはよいでしょう。
お勧めの一冊です。