IIRフィルタの安定性(続)

縦続接続したバイクワッドによるIIRフィルタのオーバーフローを防ぐ方法については、シミュレーションで学ぶディジタル信号処理―MATLABによる例題を使って身につける基礎から応用 (TECHI)の八章に、L∞ノルムを使う方法とLpノルムを使う方法が詳しく解説されています。
ただし、この本は教科書を目指したものであるためか、数式重視で直感的な理解が困難です*1。一方、「C++活用DSPプログラミング」(三上直樹 CQ出版)の11章にはL∞ノルムによるスケーリングがわかりやすく解説されています。
L∞ノルムは周波数特性を元にIIRの各部がオーバーフローを起こさないように解析する手法です。わかりやすいのですが、シミュレーションで学ぶディジタル信号処理―MATLABによる例題を使って身につける基礎から応用 (TECHI)で一言触れているように狭帯域信号にしか有効ではありません。FIRフィルタは比較的簡単にオーバーフローを防ぐ事ができ、やはり手軽です。

*1:こんなことでめげているから落ちこぼれた