455KHz AM受信機

AM同期式受信機の構成を考えて見ます。市販のラジオキットのIFから信号を取り出すとして、信号周波数は455KHz。これはIFフィルタを通った後ですから、近接妨害も比較的取り除かれていて扱いやすい信号と期待できます。

サンプル周波数と第一局発

サンプル周波数は3072KHzとします。これは48KHzの64倍で、後々オーディオ信号との間でジッタ除去を考えなくていいのが利点です。サブサンプリングは、ラジオ内部の雑音量がわからないのでパス。また、3072KHzより低い周波数だと、AMの放送信号帯にサンプル周波数(の高調波)が妨害を与える可能性があります。
まずADCからのPPI入力に内部で生成した局発408KHzをかけて、AM信号を47KHzに周波数変換します。408KHzは、

3072KHz/8 * (17/16) = 408KHz

によって得られた値で、変換後のAM信号を48KHz前後に落とす生成しやすい周波数です。この局発はソフトウェアDDSで生成してもかまいませんが、そうすると、30MIPSくらい消費します。いくらなんでもただの局発に30MIPSは出したくありません。そこでいざと言うときテーブルルックアップによる波形生成を行いやすい周波数を選んだのです。
この周波数ならば 8*16 = 128エントリのテーブルからわずか3MIPSでやすやすと生成できます。
さて、408KHzを局発として47KHzを得ると、361KHzの入力信号がイメージとして現れます。これは455KHzからは94KHzも離れているため、IFフィルタで十分カットできるとここでは考えておきます。

ダウンサンプル

次にダウンサンプルです。47KHzのAMは、455KHz+408KHz = 863KHzの信号も含んでいます。そこでダウンサンプル時にこのスプリアスもカットしなければなりません。幸い、IFフィルタで不要な信号は十分カットしていると仮定できますので、デシメーターに必要な特性はそれほどシビアではありません。しかしここはまじめに2段のデシメーターを使います。
最初のデシメーターは1/4の768KHzにサンプル周波数を落とします。ここは特性がゆるくてもいいので

フィルタ長 : N = 31
フィルタの種類 : LPF
窓の種類 : Blackman窓
正規化遮断周波数 : 0.1

としましょう。これでも863KHzのスプリアスは70~80dBは低減できます。必要なMIPS数はおよそ24MIPSです。実際にはフィルタ長が短いのでオーバーヘッドが大きく、30MIPSを超えるかもしれません。
2段目のデシメーターで、さらにサンプル周波数を1/4、192KHzまで落とします。ここは出力が60KHzまで平坦であれば十分すぎる性能といえます。フィルタ長は少しだけ長くして、きれいに遮断しています。もともとIFフィルタがあるので少々オーバースペック気味といえますが。

フィルタ長 : N = 63
フィルタの種類 : LPF
窓の種類 : Blackman窓
正規化遮断周波数 : 0.11

必要なMIPS数はおよそ12MIPS。