雑感

こうしてみるとISEFはいまいちぱっとしません。おそらくはプロセッサ上のアクセラレーターという性質ゆえでしょう。これはXtensaの縛りをそのまま受け継いでいるので他の二つほど過激なアプローチにはならなさそうです。そのかわり一番手堅く感じます。
PICOはまだ開発中です。第一弾のPICO Expressは粒度の小さい処理ユニットをビーズを敷き詰めるように使う考え方です。ハードウェア・アクセラレーターとして使うそうですが、最近流行り(?)のハード・ソフト協調設計を真正面から取り扱う点において興味深いといえます。
ACMは性能が一番高そうですが、ソフトの開発にアセンブラを使うことからどの程度までハード・ソフト協調設計を行うのかが興味のある点です*1。手でプログラムを組むには少々規模が大きすぎるように見えること、ソフトウェアの再利用性が見えないことなどにも関心があります。
そもそも並列コンピューティングというとILLIAC IVから始まってTransputerなど死者の行進のごとく思われていますが、実は特定用途向けコンピューティングでは中、大規模並列計算がすでに広く利用されています*2。よく知られている地球シミュレーターのほか、流体シミュレーション用のPAX、重力シミュレーション用のGRAPEなど研究用用の例が取り上げられることがありますが、あまり知られていないところでは軍用、医療用の高速信号処理用にDSPRISCを大量に使ったミニスーパーコンピューターが使われています。
チップ内部の億単位のトランジスタをどう利用するかについては先日も書いたように頭の痛い問題になっています。PICOやACMによってビデオ処理に特化したワンチップ大並列スーパーコンピューターが登場するのかどうか、楽しみなところです。

*1:一番興味深いのはこの会社の技術を使っているAOI社代表取締役嶋正利氏であること(笑)

*2:PCサーバーの4並列なんか「へ」ですよ「へ」