複素数

何度やっても挫折するくせについついまたやる、なんてのは人生の中に何度も出てくる風景です。Blogにもそういうのがあって、私にとってはRed catさんのBlogを読むというのがまさにそういうことです。数学落ちこぼれの私が数学blogを読むとは我ながら笑止。
さて、今日は本blogのほうにコメントをいただいたのでまた懲りずに読みに行ったのですが、そのとき左脇にあった俳句に目が留まりました。

複素数 実は暮らしの すぐ傍に

あはは、私に限らず当blogの読者の一部ならニヤリとする句です。
ここ何年か、Software Defined Radioの周りをうろうろしている訳ですが、こいつがもう複素演算の塊です。複素数といっても四則と指数関数、フーリエ変換だけ知っていれば十分SDRには足ります。それでも複素数でのアプローチを始めた頃は、「複素数とはこれほど強力なものだったか」と目を見張ったものです。
不明にして知らなかったのですがRed catさんによれば、中学校の教科書から二次方程式の解の公式が消えたとのこと。びっくりです。銭衝さんも驚かれるんじゃないでしょうか。
「使わないからいらない」で教育を語るというのは、中学校と同時に卒業すべきことなのですが。
最後に学生のときから手離せない本*1より印象深い一節を引用します。

すべての事が教科書のとおりに起こる数学者の楽園のような理想の世界があるに違いない - Bertrand Russel (1872 - 1970 )

実際、そんな世界がある。それは、本書のような教科書に基づく講義に付随して行われる実験である。測定されたフィルタの性能が、設計の基礎となった仕様書に一致する正確さは驚くべきものである。

そしてディジタル信号処理がまさに教科書どおりであることは、今一度繰り返すまでも無いことです。ああ、複素数の四則を覚えていて本当によかった!

*1:M.E.Valkenburg著 柳沢健監訳「アナログフィルタの設計」