富豪的プログラミング

とある会合で「富豪的アプローチ」という話をしたら、「それは面白い、よく使われる言葉ですか」とたずねられました。その時点で私は原典に当たっていませんでした。馬鹿な話です。すみません。
原典は増井俊之氏による「富豪的プログラミング」で、初出はbit誌1997年1月号です。ああ、読まなくなった後でしたか。
大意は「けちけちして貧しいプログラムを作るな、リソースを気にしなければもっといいユーザー・インターフェースを作れるぞ」といったところです。大意は大真面目ですが、筆者が諧謔を解する他人なためか、幾分面白風味の原稿にしあがっており、参照される場合はギャグ、あるいは自虐に用いられることが多いようです。私が耳にしたときも「悪い方法」として面白おかしく紹介されていました。
さて、会合で私が富豪的アプローチについて話したのは「最適化を本当にする必要があるの?」という文脈においてです。DSPを長くやっているエキスパートは、サイクルを削り、メモリを削ることに力を注ぎますが、本当にそれだけの時間をかける意味があるかどうかはシステムレベルまで引いて考える必要があります。月産100台くらいのシステムだと、最適化を放棄して一クラス上のDSPか、マルチプロセッサにしたほうが人件費の節約になることだって十分あるでしょう。その意味で、Cコンパイラを使うこともある意味富豪的アプローチと取れます。
id:suikan:20060506へ続く